一般社団法人福島県測量設計業協会

令和6年度 事 業 計 画

 国は令和6年度予算を歴史的転換点の中、時代の変化に応じた先送りのできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取る予算と謳い、一般会計予算総額は前年度より約1兆8千億円減の約112兆6千億円、公共事業費は前年度より26億円増の6兆801億円を計上している。なお、令和5年度の補正では公共事業に対前年度より約2千億円増の約2兆2千億円を確保しており、事業を切れ目なく取組み施策効果の早期発現を目指すとしている。
 国土交通省の令和6年度予算の基本的方針では、「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと分散型国造り」を3つの柱と位置付けた。その推進にあたっては、ストック効果の最大化に取り組むとともに、施工時期等の平準化や適正価格・工期での契約、国庫債務負担行為の積極的な活用などを推進するとともに、新技術の導入やi-Constructionの推進、災害に備えた防災体制の拡充・強化に取り組むこととしている。
 福島県の令和6年度一般会計予算は、1兆2,382億円で前年度より約1,001億円減となった。これは、新型コロナウイルス感染症対応分の約755億円の減、自然災害からの復旧事業等の約177億円の減などによる。復興・創生分は、2,394億円で前年度より約188の億円減となっている。新しい総合計画の3年目となり、現下の物価高騰に適切に対応しながら、複合災害からの復興や、人口減少の克服に向けた福島ならではの地方創生をさらに加速させ、防災力の強化や地球温暖化対策、デジタル変革を推進するなど、総合計画を着実に前進させるとしている。建設事業などの投資的経費は、約2,048億円と約187億円の減となった。これは、河川災害復旧助成費や復興後援住宅整備促進事業などの減による。一方で、交付金事業(道路)(再生・復興)は約86億円の増となっている。
 当協会としては、国県等が進める防災・減災、国土強靭化やi-Construction及びDX(デジタルトランスフォーメーション)等の施策に的確に対応し、「ひと」「暮らし」「しごと」が調和しながらシンカ(深化、進化、新化)する豊かな社会を目指す福島県の総合計画の実現に寄与し、郷土の発展と安心安全の向上に貢献できるよう各種事業に取り組む。
 まず、公共事業の推進に的確に対応するため、研修会の開催や新技術等の調査研究に取り組むとともに会員へ情報を提供する。また、地域の雇用を守り、郷土の発展に寄与しつづけるため、労働環境の改善向上による人材の確保に努めるとともに、国県等へ公共事業の計画的な推進を働きかけ、経営基盤の安定・充実を促進する。
 また、河川道路等のインフラ(社会基盤)の長寿命化による維持管理費の急増の抑制に寄与するため、点検・診断などインフラの老朽化対策に積極的に取り組むとともに、改正品確法の受注者責務に応えるため、地域の特性を把握し将来の姿を描ける知識と能力を有する技術者の育成に努める。
 以上を踏まえ、重点目標を掲げ以下の事業を実施する。

1 重点目標
  1. (1) 県土の復興と創生を支える社会基盤整備への対応
  2. (2) 大規模な自然災害に備える防災・減災・国土強靭化への対応
  3. (3) 将来を見据えたインフラ老朽化対策への対応
  4. (4) 改正品確法の受注者責務である技術力向上、技術者育成、確保
  5. (5) 働き方改革の推進
  6. (6) 経営環境の改善
  7. (7) 入札制度への適切な対応
  8. (8) 地域貢献活動
2 実施事業
  1. (1) 建議、要望及び関係機関との連携
    1. ① 官公庁及び関係団体との協議・意見交換・要望
    2. ② (一社)全国測量設計業協会連合会・東北地区協議会との連携
    3. ③ (一社)福島県建設産業団体連合会ほか関係諸団体との連携 
  2. (2) 技術力の向上並びに経営基盤の充実強化に関する事業
    1. ① 技術力向上のための専門研修・講習会の開催
      1. ア)河川、道路事業に関する技術力の向上
      2. イ)災害復旧事業に関する技術力の向上
      3. ウ)橋梁・トンネル等構造物の維持・補修に関する技術力の向上
      4. エ)三次元測量設計に関する技術力向上
    2. ② 資格取得支援講座等の開催
    3. ③ 独占禁止法や入札制度等、経営に関する講習会等の開催
      コンプライアンス意識の向上(倫理綱領の遵守)
    4. ④ 経営改善(事業承継、人材確保等)や新規業務開発に繋がる業務・技術に関する調査・研究
    5. ⑤ 関係法令、規則、指針等の周知
    6. ⑥ 協会独自のCPD制度の検証と適切な運営
    7. ⑦ 働き方改革の推進
  3. (3) 啓発宣伝・地域貢献等に関する事業
    1. ① 会報、会員名簿の発行
    2. ② 協会ホームページの運用
    3. ③ 業務用参考図書の斡旋
    4. ④ 会員・従業員の表彰
    5. ⑤ 高校生の測量競技大会の支援及びインターンシップの協力
    6. ⑥ 地域への貢献事業の実施
  4. (4) その他事業を円滑に実施するため、関係機関等と連携を密にし、必要に応じて随時適切な運営を図るものとする。

令和5年度  事 業 実 績


 令和5年度の事業においては、国県等が進める防災・減災、国土強靭化、復興創生やi-Construction及びDX(デジタルトランスフォーメーション)等の施策に的確に対応しつつ、郷土の発展と安心安全の向上への貢献を目指し各種事業に取り組んだ。

1.建議、要望及び関係機関との連携に関する事業

 福島県測量設計業協会会員は、地域の雇用の確保や災害時の緊急出動など地域の安定と安全に寄与し、また地域の実情に精通し知識と技術力を備えた郷土の基幹産業の一員として地域社会発展に貢献してきていることを訴え、会員の積極的な活用などについてあらゆる機会を捉え県など発注機関等へ要望や要請をした。

  1. (1)県土木部との意見交換会(令和5年11月30日)
    1. ①公共事業予算の安定的確保と計画的発注について
      当協会員である地元測量設計業者の積極的な活用と予算の確保
    2. ②災害対応の効率化、品質の確保等について
      災害測量設計マニュアルの県職員への周知
      河川施設台帳のデジタルデータでの整備充実
    3. ③災害時の協定活動後の速やかな災害業務の委託について
    4. ④品質確保と労働環境の改善について
      業務の平準化と打合せの効率化
      速やかな繰越手続きなどの所謂「さしすせそ」の取組み
    5. ⑤BIM/CIMの取組みについて
      人材の確保育成及び新技術の導入
    6. ⑥ふくしまMEの積極的な活用について
      認定者の活用拡大
    7. ⑦受発注者協働による円滑な業務の履行について
      密な情報共有/繰越手続き等による必要な工期(履行期間)の確保
  2. (2)建産連を通じての県議会各党・各会派及び政府への要望
    ◆ 令和6年度県予算編成に対する要望(令和5年9月4日)
    1. ①公共事業予算の安定的確保等について
      県内企業の活用ほか
    2. ②新担い手3法の遵守による危機管理産業としての地域建設業の経営安定化と適正利潤の確保について
      施工時期の平準化、ウイークリースタンス等の取組みの推進、最低制限価格の引上げほか
    3. ③担い手確保について ほか
    ◆ 令和6年度政府予算に対する要望(令和5年12月1日)
    1. ①地方創生に向けて必要な社会インフラ予算の確保と計画的な推進について
    2. ②公共工事品質及び生産性向上のための発注・施工時期の平準化について
    3. ③低入札価格調査基準の引き上げについてほか
  3. (3)福島県土木建築調査設計団体協議会を通じて県入札制度等監視委員会に出席し入札制度に対する意見を述べるとともに協会の活動概要を説明した。
    (令和5年11月27日) 
    1. ①地元企業を重視した入札制度

2.技術力の向上並びに経営基盤の充実強化

 「品確法」を踏まえ、業務に必要な河川、道路、などの研修会を開催するとともに、これらの研修履歴を管理し客観的に評価するCPD制度を運営するなど会員の技術力向上に取り組んだ。

  1. ① 業務成果発表会(令和5年5月19日)
  2. ② 日本技術士会東北本部福島県支部第1回CPD研修会(共催)(令和5年6月29日)
  3. ③ 河川・砂防設計に関する研修会(令和5年7月12日)
  4. ④ 三次元データ活用セミナー(令和5年7月20日、21日)
  5. ⑤ RCCM受験対策講座(令和5年7月27日)
  6. ⑥ 道路設計に関する研修会(令和5年8月9日)
  7. ⑦ 橋梁点検診断研修会(令和5年9月20日)
  8. ⑧ 新技法講座(令和5年9月28日)
  9. ⑨ 砂防施設設計に関する研修会(令和5年10月18日)
  10. ⑩ 施設現場研修会(令和5年11月17日)
  11. ⑪ 

3.経営環境の改善、基盤の強化

 成果品の品質向上や経営環境の改善を図るため、業務執行上の課題や技術的事項などについて協会の実務者研究会で調査検討するとともに、関係機関へ要望や意見交換会などの機会を捉え働きかけた。

  1. (1)実務者研究会の開催
    1. ① 人材育成災害対応部会(令和5年5月17日、8月4日、10月6日、12月15日、令和6年2月9日)
      災害マニュアルの改訂作業を進めるとともに、若者向けのパンフレットを作成した。
    2. ② ICT部会(令和5年5月17日、8月4日、10月6日、12月15日、令和6年2月9日)
      宅地造成等測量設計積算基準の見直しを検討した。
  2. (2)県との意見交換会の開催(令和5年11月30日再掲)
  3. (3)ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会事務局を担当
    県内技術者の技術力の向上等を図るため平成29年7月に設立した「ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会」において、福島県建設産業団体連合会、福島県建設業協会とともに事務局を担当した。なお、令和4年4月より事務局には専従の事務局長が配置されている。
  4. (4)経営セミナーの開催(令和5年10月27日)
    全員協議会の中で経営セミナーとして「未来の測量設計」をテーマに、国土交通省東北地方整備局ほかから講師を招聘して講演及び対談を実施した。

4.入札制度改革への適切な対応

 福島県土木建築調査設計団体協議会を通じて県入札制度等監視委員会に出席し意見を述べた。(令和5年11月27日再掲)


5.地域貢献への取り組み

 一般社団法人として公益的な事業に積極的に関わり、本部及び各支部が積極的に地域貢献事業に取り組んだ。

  1. (1)「測量の日」事業を通じ、県民に測量の重要性について普及と啓発を図った。
  2. (2) 道路河川等の美化作業や献血活動等地域貢献事業へ各支部単位で積極的に協力・参加した。
  3. (3) 次世代を担う測量技術者育成と若年労働者確保対策の一環として、インターンシップの受け入れ等の学校行事活動に積極的に対応した。また、高校生の測量競技大会が県立福島明成高等学校で令和5年7月11日~12日に開催され、9名の審判員を派遣した。さらに、高校生ものづくりコンテスト2023東北大会測量部門が福島県立二本松実業高等学校で令和5年8月23日に開催され、3名の審判員を派遣するとともに競技用の測点を設置するなどの協力をした。
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